日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
抗てんかん薬投与中に再生不良性貧血を発症した染色体異常(18q部分欠失,4q部分トリソミー)症の1例
堀田 将志安井 昌博辻本 弘中西 達郎樋口 紘平清水 真理子佐藤 真穂澤田 明久中井 理恵最上 友紀子鈴木 保宏井上 雅美
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2019 年 56 巻 1 号 p. 53-56

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抄録

抗てんかん薬を使用中に発症した再生不良性貧血は,報告は認められるものの詳細は明らかにされていない.今回,複数の抗てんかん薬を定期使用中に最重症再生不良性貧血をきたした症例を報告する.症例は染色体異常のある15歳女児で血液疾患の既往はなく,難治性てんかんに対してカルバマゼピン,エトスクシミド,バルプロ酸ナトリウム,フェノバルビタールを内服中であった.定期受診時に顔色不良を認め,血液検査で汎血球減少を認めた.抗てんかん薬を中止して経過観察していたが,造血回復を認めず,各種検査所見や経過から最重症再生不良性貧血と診断した.ステロイドパルス療法とステロイド維持療法を行ったところ,造血回復を認めた.抗てんかん薬投与中に発症する再生不良性貧血に対して,ステロイドパルス療法とステロイド維持療法の有効性が示唆された.

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© 2019 日本小児血液・がん学会
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