2019 年 56 巻 1 号 p. 53-56
抗てんかん薬を使用中に発症した再生不良性貧血は,報告は認められるものの詳細は明らかにされていない.今回,複数の抗てんかん薬を定期使用中に最重症再生不良性貧血をきたした症例を報告する.症例は染色体異常のある15歳女児で血液疾患の既往はなく,難治性てんかんに対してカルバマゼピン,エトスクシミド,バルプロ酸ナトリウム,フェノバルビタールを内服中であった.定期受診時に顔色不良を認め,血液検査で汎血球減少を認めた.抗てんかん薬を中止して経過観察していたが,造血回復を認めず,各種検査所見や経過から最重症再生不良性貧血と診断した.ステロイドパルス療法とステロイド維持療法を行ったところ,造血回復を認めた.抗てんかん薬投与中に発症する再生不良性貧血に対して,ステロイドパルス療法とステロイド維持療法の有効性が示唆された.