日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
神経芽腫治療後に発症した膵solid pseudopapillary neoplasmの女児例
河村 佑太朗井上 彰子鈴木 亮瀧谷 公隆富樫 佑一富山 英紀竹下 篤内山 和久玉井 浩
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2019 年 56 巻 2 号 p. 216-220

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抄録

症例は8歳女児.生後8ヶ月時に発症した乳児神経芽腫stage IVに対し,多剤併用化学療法,自家末梢血幹細胞救済大量化学療法および副腎腫瘍摘出術を行い,寛解を得た.治療終了7年後の定期検診時に,腹部エコー検査で膵体部に2 cm大の腫瘤性病変を認めた.各種腫瘍マーカーは陰性であったことから膵solid pseudopapillary neoplasm(SPN)が疑われ,直ちに膵体尾部切除術を施行し確定診断に至った.術後1年10ヶ月の現在,再発なく経過している.SPNは低悪性度腫瘍ではあるが,周囲組織への浸潤,転移,再発をきたすことがあり,今後も注意深い経過観察が必要である.本例では発症年齢が典型的なSPNとは異なっており,神経芽腫治療後の2次がんの可能性や異時性発症の重複がんの可能性が考えられた.小児がん治療後の画像検査を含めた長期的フォローアップの重要性を再認識した.

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© 2019 日本小児血液・がん学会
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