2019 年 56 巻 5 号 p. 469-473
小児ダウン症候群(DS)は急性白血病発症の危険性が有意に高い.我々はダウン症候群に伴う骨髄性白血病(ML-DS)寛解後に急性リンパ性白血病(DS-ALL)を発症した稀な例を経験したので報告する.症例はダウン症候群の女児で生後18ヶ月時に貧血と血小板減少が出現した.骨髄検査ではCD41,CD7,CD13,CD33,GP-A陽性でGATA1変異を認める芽球を17%認めた.ダウン症候群に伴う骨髄性白血病(ML-DS)と診断しAMLの治療を行い長期寛解となった.7歳時,再び点状出血斑と血小板減少を認めた.骨髄検査ではCD10,CD19,CD20,HLA-DR陽性の芽球を96%認めた.しかし,これらの白血病細胞にはGATA1の変異は認めなかった.患児は急性リンパ性白血病(de novo DS-ALL)と診断されALLの治療を受けた.14歳時,患児はML-DSもDS-ALLも共に完全寛解中である.