日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
長期生存が期待される小児肝未分化肉腫の2例
渡邉 俊介原普 二夫安井 稔博宇賀 菜緒子直江 篤樹近藤 靖浩土屋 智寛鈴木 達也
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キーワード: 小児, 肝腫瘍, 肝未分化肉腫
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2020 年 57 巻 1 号 p. 24-27

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抄録

我々は稀な肝未分化肉腫を2例経験したので報告する.症例1は11歳女児.発熱,腹痛で発症し,CTで肝右葉に巨大腫瘍,PET-CTでは腫瘍辺縁に強く集積を認めた.血液検査所見ではLDHとCA125が高値を示し,生検にて肝未分化肉腫と診断した.VAC療法(ビンクリスチン,アクチノマイシンD,シクロフォスファミド)(5クール)後に腫瘍核出術を施行した.術後VAC療法(8クール)を行い治療終了後5年2ヶ月経過し再発なく生存中である.症例2は12歳男児.右上腹部膨隆と腹痛で発症し,CTで肝右葉に腫瘍,PET-CTで腫瘍辺縁に集積を認めた.血液検査所見ではLDHとCA125が高値を示し,肝未分化肉腫と術前診断し右3区域切除術を行った.摘出腫瘍は肝未分化肉腫の病理診断であった.術後VAC療法(5クール)行い治療終了後1年4ヶ月経過し無病生存中である.年長児で特異的腫瘍マーカーの上昇が伴わない肝腫瘍においては,本疾患を想起することが肝要である.

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© 2020 日本小児血液・がん学会
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