2020 年 57 巻 1 号 p. 28-32
病期I,病期II Aかつ巨大腫瘤を有しない小児の早期ホジキンリンパ腫(HL; Hodgkin lymphoma)に対する標準治療は,2–4コースの多剤併用化学療法と初発時に腫瘍が存在したリンパ節領域(IF; involved field)に対する低線量照射(IF照射)である.早期HLに対し,さまざまな化学療法が試みられている.また,晩期合併症の軽減を目的として,治療反応が良好だった場合,IF照射省略が試みられている.我々は2例の小児早期HLに対して,vinblastine,doxorubicin,methotrexate,prednisoloneによるVAMP療法を実施した.VAMP療法2コース後に18F-fluorodeoxyglucose positron emission tomography/computed tomographyで完全寛解に到達したことを確認し,2コースのVAMP療法を追加してIF照射を省略した.肝酵素上昇と好中球減少症が治療中に認められた有害事象であった.2例は4年以上完全寛解を維持しており,晩期合併症を認めていない.VAMP療法は小児早期HLに対して安全な化学療法レジメンである可能性が示唆された.