日本小児血液・がん学会雑誌
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原著
JACLS ALL02とJPLSG ALL-B12の再寛解導入療法におけるステロイド関連合併症の比較:単一施設における後方視的解析
山田 美沙恵坂口 大俊前村 遼吉田 奈央濱 麻人
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2020 年 57 巻 2 号 p. 126-131

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抄録

プレドニゾロン(PSL)とデキサメタゾン(DEX)はいずれも急性リンパ性白血病(ALL)の治療において重要な役割を果たしているが,様々な合併症の誘因となる.我々は再寛解導入療法においてPSLまたはDEXを用いる2種類のALL治療プロトコールのステロイド関連合併症について比較検討した.2009年から2016年の期間に当科にて新規に前駆B細胞性ALLと診断された56例を対象とした.2011年までに診断された26例(26コース,ALL02群)に対してはPSL(40 mg/m2/日 2週間)を,2012年以降に診断された30例(56コース,B12群)に対してはDEX(10 mg/m2/日 2週間)を使用する再寛解導入療法が施行された.診療録から再寛解導入療法中の症状や検査データを収集し評価した.解析の結果,B12群で,肝機能障害,高コレステロール血症,低タンパク血症,肥満,発熱性好中球減少症,および耐糖能異常の発生率が有意に高かった.高コレステロール血症に対するフィブラート製剤はB12群で多く使用されており,インスリン投与を要する耐糖能異常はB12群でのみ発生していた.PSLと比較してDEXを用いた再寛解導入療法では,ステロイド関連合併症の発生頻度が高く,積極的に予防や早期治療を検討すべきである.

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© 2020 日本小児血液・がん学会
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