日本小児血液・がん学会雑誌
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原著
単一センターにおけるブスルファン静注製剤を用いた前処置による小児移植成績の検討
岩﨑 史記後藤 裕明
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2020 年 57 巻 2 号 p. 132-141

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抄録

【緒言】ブスルファン(Bu)静注製剤の小児での安全性・有効性の検討の報告は少ない.当院でのBu静注例の安全性・有効性に関して検討した.

【対象と方法】対象は2007年1月より2017年9月までに静注製剤を用いた移植症例83例.経口製剤使用例89例を対照とし,生着率,生存率,合併症を後方視的に検討した.

【結果】観察期間中央値460日(5~3,355日),移植時年齢中央値は5歳11ヶ月(5ヶ月~16歳),男女比50:33.疾患の内訳は固形腫瘍44例,AML13例,ALL12例,MDS6例,悪性リンパ腫2例,造血障害2例,免疫不全症2例,その他2例.移植ソースは骨髄29例,末梢血幹細胞43例,臍帯血18例で同種移植40例,自家移植50例,骨髄破壊的前処置は77例.3年粗生存率は53.0%[95%CI: 39.3–66.0](対照59.1%[46.8–68.7%]p=0.34),生着は79例で得られ,27例で1日1回投与法が選択された.主な合併症は間質性肺炎3例(3.3%),肝類洞閉塞症候群13例(14.4%),中枢神経合併症4例(4.4%),閉塞性細気管支炎/気質化肺炎6例(6.7%)で対照群と同等だった.また生着率・合併症は静注群と対照,1日1回群と4回群の比較でいずれも同等だった.

【結語】小児において静注製剤の有効性,安全性は経口製剤と同等だった.1日1回投与法は同様の安全性と有効性が示唆された.

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