2020 年 57 巻 2 号 p. 142-149
LTFU外来に通う小児がん経験者のニーズを明らかにし,必要な支援を検討するために,2014年7月~2017年3月に当院のLTFU外来を受診した216名の診療録より相談内容を抽出し質的帰納的に分析した.困っていることについて相談をした経験者は167名(77.3%)であり,454件の相談内容は①小児がん治療後の身体症状への心配,②現在抱える心理的・社会的困難,③将来起こりうる症状や出来事への不安,④必要とする情報や支援の提供を希望,⑤小児がん以外の事柄への気掛かり,に分類された.疼痛や易疲労など日常生活に支障をきたしている身体症状の相談が最も多く,心理社会面では精神不安定や病名未告知についての相談が多かった.LTFU外来に対するニーズは,身体症状に対する適切な治療介入,心理・社会的問題の共有と多職種による継続支援,将来に対する不安の軽減,発達段階やライフイベントに応じた予測的な支援,一般小児科としての役割の5点であり,小児がん経験者の疾患や経過,抱えている問題や発達段階,ライフイベントにより状況は個々に異なるため,具体的に問題を予測した悩みのスクリーニングと,多職種による適切なタイミングでの継続的な支援が重要であることが示唆された.