2020 年 57 巻 2 号 p. 173-177
免疫グロブリン大量療法(IVIG)後の川崎病回復期に免疫性血小板減少症(ITP)を合併した2例を経験した.いずれも川崎病と診断し,IVIG,アスピリン内服を開始した.川崎病症状は速やかに改善したが,それぞれ第13病日,第21病日に血小板減少を認めた.いずれもITPと診断し,異なる種類の免疫グロブリンを用いて再度IVIGを施行した.治療反応良好であり速やかに血小板増加を認めた.川崎病回復期にITPと診断された症例は極めて稀であり,治療としてIVIGを選択した報告はない.本2症例はいずれもITPに対し再度IVIGを施行し,速やかな症状の改善が得られた.IVIG後の川崎病回復期に合併したITPに対する治療としてIVIGは選択肢の1つとなりうることが示唆された.しかし,その際には血栓症の危険性を考慮し,使用には慎重を期するべきであると考えられる.