2020 年 57 巻 5 号 p. 372-378
2019年6月,わが国において2種類のがん遺伝子パネル検査が保険適用となった.がん遺伝子パネル検査結果に基づき,遺伝子異常に合った抗がん剤投与を受けることのできた患者は国内,海外データともに10%前後であり,がん遺伝子パネル検査結果が患者にとって期待した通りの成果をもたらす可能性は当初からの予想通り,高くはない.このような現状の中,見つかった遺伝子異常と抗がん剤の投与との関係において十分なエビデンスがない場合や治験・先進医療B等の臨床試験の適格規準から外れる患者(16歳以上)を対象に,患者申出療養の枠組みの中で,適応外薬をがんパネル遺伝子検査の結果に基づき投与する臨床研究が,国立がん研究センター中央病院が事務局となり,全国のがんゲノム医療中核拠点病院が参加する形で2019年10月1日より開始された.この取り組みを紹介するとともに,小児への拡大について議論する.