日本小児血液・がん学会雑誌
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要望演題1:分子標的薬
当院で治療を行った切除困難な小児デスモイド腫瘍の5例
荒川 歩川井 章小林 英介岩田 慎太郎川久保 尚徳熊本 忠史小川 千登世
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2020 年 57 巻 5 号 p. 366-371

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抄録

デスモイド腫瘍は,局所浸潤性は強いが遠隔転移はしない線維芽細胞増殖性の軟部腫瘍である.サイズの小さい腫瘍ではwait & see,切除可能な腫瘍では外科的切除が第一選択となるが,腫瘍の増大が速い,あるいは局所浸潤性の強い場合は外科的切除困難であることも多く,治療選択にしばしば苦慮する.今回,当院で治療を行った小児のデスモイド腫瘍の5例について報告する.診断時の年齢中央値は12.0歳(7.3–14.6歳)で,発症部位は四肢発症が4例(前腕3例,膝周囲1例)で腹腔内発症が1例だった.腹腔内発症の1例はGardner症候群の合併例だった.5例のうち4例にメソトレキセートとビンブラスチンの併用療法を実施し,最良総合効果は2例でstable disease (SD),2例でprogressive disease (PD) だった.パゾパニブの投与を行った3例の最良総合効果は1例でpartial response(PR),1例でSD,1例でPDであった.Gardner症候群に合併したデスモイド腫瘍の1例は,MTX & VBLとパゾパニブの両方に抵抗性を示し,最良総合効果がPDであったがドキソルビシン単剤によりPRを達成した.当科で経験した5例のデスモイド腫瘍は,概ね抗がん剤による治療で病勢のコントロールが可能であった.文献的なレビューを加え報告する.

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© 2020 日本小児血液・がん学会
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