2020 年 57 巻 5 号 p. 379-384
小児悪性固形腫瘍に対する陽子線治療が保険診療となり,より効果的な照射を行うためにスペーサー留置を行う機会が増えてきた.当院ではこれまでに4例の小児骨盤部悪性腫瘍に対して延伸ポリテトラフルオロエチレン(expanded polytetrafluoroethylene; ePTFE)製シートを用いたスペーサー留置術を施行してきた.腫瘍表面に厚さ2 mmのパッチを5枚重ねで被覆して10 mmのmarginを確保し,腸管の被曝低減と腫瘍辺縁への線量低下防止を図った.いずれの症例においても術後合併症を認めず,陽子線照射を計画通りに行うことができた.このePTFE製シートが体内で残存し続けることの安全性は確立しておらず,うち3例では照射終了後のスペーサー摘出術を施行した.最近,吸収性スペーサーが開発され,ePTFE製シートを使用する機会は今後なくなることが予想されるが,吸収性スペーサーにおいてもこれまでの留置のノウハウを応用することが可能と思われ,当院での4例の経験を総括して報告する.