2020 年 57 巻 5 号 p. 394-398
症例は4歳時にETV6/RUNX1陽性Bリンパ芽球性白血病(B-ALL)を発症した女児.JPLSG ALL-B12プロトコールで治療し完全寛解を得た.治療終了2年経過後の血液検査でBUN,クレアチニン,LDHの上昇を認めたため腹部エコー検査を行ったところ著明な両側水腎症と骨盤内腫瘍を認めた.腹腔鏡検査で卵巣腫大を認め,生検によりALLの卵巣再発と診断した.骨髄中に白血病細胞は認めなかったが,PET-CTで後腹膜,縦隔リンパ節,肝表面に集積亢進を認めた.再発診断後はJPLSG ALL-R08に基づき治療を開始,根治目的で腹腔鏡下両側卵巣・卵管切除術,非血縁者間臍帯血移植を施行した.現在移植後1年8か月で寛解を維持している.卵巣再発ALLの症例は報告が少ないが,予後不良と考えられた.卵巣再発ALLに対し外科治療と非血縁者間臍帯血移植を併用し寛解を得た一例を経験したので報告する.