日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
大量化学療法後早期に再燃し胸膜播種を来した神経芽腫の一例
前村 遼山下 大紀佐治木 大知坂口 大俊吉田 奈央千馬 耕亮村瀬 成彦髙瀬 裕樹山田 哲也吉川 佳苗伊藤 藍伊藤 雅文岩本 彰太郎濱 麻人
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2021 年 58 巻 2 号 p. 171-174

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抄録

Image-defined risk factor陽性の左後腹膜原発MYCN増幅3期神経芽腫を発症した初診時1歳2か月の男児に対して,寛解導入療法5コースを施行し,部分奏功を維持したまま,静注ブスルファンとメルファランによる自家骨髄移植併用大量化学療法を施行した.移植後72日目に腹腔鏡下腫瘍部分切除術を施行し,組織診にてviabilityの高い神経芽腫細胞を認め,77日目にCTで原発巣の増大を認めた.救援化学療法を施行したが100日目のCTでは多発胸膜転移も認めた.化学療法に加えて,30.6 Gy/17分割の原発巣局所照射および15 Gy/10分割の全肺照射を施行したが,腹膜播種を来し,207日目に死亡した.剖検後の解析にて,初発および剖検検体でのALK高発現を認めた.MYCN増幅およびALK高発現の神経芽腫では急速な増悪を示す可能性があり,ALK阻害剤など新規薬剤の導入が望まれる.

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© 2021 日本小児血液・がん学会
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