日本小児血液・がん学会雑誌
Online ISSN : 2189-5384
Print ISSN : 2187-011X
ISSN-L : 2187-011X
シンポジウム2: 再照射
小児がんに対する陽子線再照射
橋本 孝之森 崇西岡 健太郎打浪 雄介安田 耕一木下 留美子田口 大志加藤 徳雄清水 伸一青山 英史
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 58 巻 2 号 p. 89-93

詳細
抄録

陽子線治療は通常のX線による放射線治療に比べて線量集中性に優れ,標的への線量を保ったまま周囲の正常組織線量を低減することで,小児がん患者の急性期並びに晩期有害事象の軽減が可能である.2016年4月からは20歳未満の限局性固形悪性腫瘍に対する根治的な陽子線照射が保険適応となり,各施設で小児がんの陽子線治療実施件数が増加傾向にある.局所領域再発に対する再照射は,腫瘍進行抑制・症状緩和と,時に治癒や長期の腫瘍制御による健康状態・QOLの維持をもたらす可能性がある.小児患者に対する再照射における重要臓器・器官の累積耐容線量や安全性は確立していないが,中枢神経腫瘍に対する陽子線再照射により,有害事象の発生を抑えた良好な治療成績が報告されている.今後,小児がん再発の治療選択肢における陽子線再照射の有用性については,前向き臨床試験での評価が必要と考える.

著者関連情報
© 2021 日本小児血液・がん学会
次の記事
feedback
Top