2018 年 2018 巻 125 号 p. 45-52
‘やぶきた’の生葉を原料に作り分けた釜炒り茶,蒸製玉緑茶,煎茶の1煎,2煎,3煎目の荒茶浸出液について,味覚センサーによるうま味,渋味の測定,またアミノ酸,カテキン類の成分分析を行い,釜炒り茶および蒸製玉緑茶と煎茶との味の違いとその要因について検討した。
釜炒り茶は煎茶と比較して1,2煎目ともにうま味推定値に有意差はなく,渋味推定値は低いことから,渋味を感じにくいものと推察された。これは,釜炒り茶が揉み込み工程が少ない製法であることによる成分の溶出されにくさに加えて,荒茶浸出液中のアミノ酸に対するカテキン類の溶出割合が低いこと,総カテキン類量に占めるガレート型カテキン類の割合が低いことも要因であると考えられる。蒸製玉緑茶は煎茶と比較して1,2煎目ともに味覚センサーによるうま味,渋味評価は同等であり,1~3煎目の荒茶浸出液中のアミノ酸,カテキン類の濃度およびその組成においても煎茶と有意差が認められなかった。一方,作り分けを行った荒茶の浸出液において,アミノ酸総量およびグルタミン酸等のアミノ酸個別の濃度の対数とうま味推定値,またガレート型カテキン類濃度および個別カテキン類濃度の対数と渋味推定値との間に非常に高い相関が認められた。