2021 年 58 巻 3 号 p. 287-291
骨髄異形成症候群(MDS)から急性骨髄性白血病(AML)へ進行する過程で急性リンパ性白血病(ALL)を併発したFanconi貧血(FA)の7歳女児例を経験した.下血を主訴に受診し,特異顔貌,血球減少からFAを疑い,染色体断裂性試験の結果FAと診断,RAEB-2に進展したため造血幹細胞移植の準備を進めた.発熱と芽球の増加を認め,骨髄検査でALL(L1)と診断した.髄腔内注射(MTX,Ara-C,PSL)と3剤(PSL,VCR,L-ASP)により寛解導入を行い,寛解に至ったがその後AMLへと病態が変化し,Flu,CPM,Ara-C,TBIを前処置とした,HLA血清型5/6座一致の臍帯血移植を行い寛解に至った.骨髄染色体検査よりALLはMDS,AMLとは異なるクローンであることが推察された.