日本小児血液・がん学会雑誌
Online ISSN : 2189-5384
Print ISSN : 2187-011X
ISSN-L : 2187-011X
症例報告
脊髄圧迫症状を契機に診断に至った小児悪性腫瘍4症例の臨床経過と神経学的予後
折居 恵以鈴木 涼子稲葉 正子穂坂 翔八牧 愉二福島 紘子福島 敬高田 英俊
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 58 巻 3 号 p. 292-295

詳細
抄録

小児がんの4–5%に脊髄圧迫が見られ,多くの脊髄腫瘍は脊髄圧迫症状を契機に診断される.脊髄腫瘍はオンコロジックエマージェンシーであり,成人では治療開始前の神経障害の程度が治療後の神経学的転帰に関連すると報告されている.今回我々は,脊髄圧迫症状を契機に診断に至った小児腫瘍性疾患を4例経験した.対象症例は4か月~11歳であった.発症から画像診断までの期間は3~36日であり,腫瘍部位は硬膜外2例,硬膜内髄外1例,髄内1例だった.病理組織学的検査の結果Ewing肉腫,悪性ラブドイド腫瘍,急性骨髄性白血病と診断した.診断時に完全麻痺(Frankel A)であった1症例は運動機能の回復は得られなかった.一方,診断時に運動機能が残存していた(Frankel B, C, D)3症例では運動機能の回復(Frankel D)が得られた.完全麻痺に至る前の介入が神経学的予後の改善につながると考えられた.

著者関連情報
© 2021 日本小児血液・がん学会
前の記事 次の記事
feedback
Top