日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
小児に発症した気管粘表皮癌の一切除例
櫻井 毅橋本 昌俊中村 恵美大久保 龍二福澤 太一小沼 正栄武山 淳二遠藤 尚文
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2021 年 58 巻 3 号 p. 306-310

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抄録

症例は8歳女児.半年ほど前から咳嗽が出現し近医で加療されていたが,徐々に喘鳴が増強し,CT検査で気管内に腫瘍性病変を認めたため当科へ紹介された.CTでは気管内腔の腹側に造影効果を伴う充実性腫瘤陰影を認め,気管内の約80%を占拠していた.経時的な症状の増悪を認めたため準緊急で手術を施行した.頚部襟状切開でアプローチし,気管前面に至った.腫瘍の気管外への浸潤,リンパ節の腫大は認めなかった.気管楔状切除を施行し腫瘍を摘出した.病理結果は低悪性度の気管粘表皮癌であった.術後5年間経過したが,日常生活に支障なく過ごしており,気管支鏡検査では再発所見は認めていない.咳嗽のような非特異的気道症状であっても,経過中に増悪する気道閉塞症状を伴う場合は,気管腫瘍を念頭において精査する必要がある.また,気管粘表皮癌は完全切除されれば予後良好であり,気管楔状切除は有効な方法であった.

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© 2021 日本小児血液・がん学会
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