2021 年 58 巻 3 号 p. 320-324
【はじめに】小児がんのリハビリテーション(以下,リハ)では,治療中により生じる諸症状やリスクを考慮した関わりが重要となる.【症例】若年性骨髄単球性白血病の双胎症例.症例A,双胎第1子,男児,診断時0歳6ヶ月.生後1歳3ヶ月時に非血縁間骨髄移植施行された.寝返り以降の発達が停滞しており,9ヶ月時よりリハを行った.症例B,双胎第2子,男児,診断時0歳5ヶ月.生後7ヶ月時に非血縁間臍帯血移植施行となった.生後1歳1ヶ月時つかまり立ち以降の発達が停滞し,リハを行った.歩行獲得に難渋したが歩行練習を行い,退院後それぞれ1歳10ヶ月時,1歳6ヶ月時に立ち上がり,独歩を獲得した.【考察】本症例ではリスク管理上,床動作は狭いベッド上に限られたことで十分な粗大運動の経験を得られず,独歩獲得が遅れた原因となったと考えられた.患者個人を詳細に評価し,それぞれの状態に合わせたリハの提供が重要であった.