【目的】難治小児がん患者における在宅療養のニーズが拡大しているが,症例数の少なさや,治療背景の変化に伴う子どもや家族にとっての意思決定の難しさに起因する問題が存在する.終末期に在宅での療養を希望する小児がん患者および家族へのケアを行う訪問看護師の困難とニーズを明らかにし,子どもと家族にとってより良い療養生活となるための訪問看護との連携の在り方について検討した.【方法】2018年1月から3月に,神奈川県で小児・終末期の対応を標榜する395の訪問看護ステーションに,終末期にある小児がん患者の訪問看護経験,ケアに伴う困難およびニーズについて質問紙調査を行った.【結果】148事業所から有効回答が得られ,終末期の小児がん患者の訪問経験は24(16.2%)事業所にあった.ケアの困難として疾患特有の症状アセスメントや,子どもと家族への心理的ケアがあり,医療機関との連携体制,疾患に関連した知識の取得がニーズとして挙げられた.【考察】訪問看護師の経験の少なさは,がんの子どもや家族の対象理解や,疾患の特徴に関連した知識や技術を提供するうえでの困難さと関連していると考えられる.また,短期間での対象者との信頼関係の構築や支援のために,医療機関との連携のニーズがあると考える.【結論】終末期にある小児がん患者と家族のQOLを保証し,安心した療養生活が送れるよう,訪問看護師と医療機関の連携体制の構築や,移行前からの継続した協働や情報共有の機会が必要である.