2022 年 59 巻 2 号 p. 163-166
悪性骨軟部腫瘍の根治的手術では,腫瘍切除とともに周囲の骨・筋・関節・靭帯の切除を伴う.関節の温存が難しい腫瘍切除手術では,その機能や容姿を保たせるため,再建に人工関節を使用する場合が多い.再建した人工関節の晩期合併症として,人工関節のゆるみや遅発性感染があげられる.悪性骨軟部腫瘍手術で使用された人工関節の晩期合併症は,頻度も高く難治性である.治療には長期間かかることから,小児AYA世代で晩期合併症が起こると,日常生活の大きな妨げの原因となる.治療終了から10年以上経過後に,難治性深部感染の治療を行った2症例を報告し,このような晩期合併症を起こしている症例の問題点を検討した.