2022 年 59 巻 3 号 p. 248-254
小児がんの放射線治療は成人がんと異なる側面がある.小児がんは希少疾患であり,悉皆的に登録する単アームの臨床試験により治療開発が行われてきた.これにより集学的治療,他剤併用療法,放射線治療が効率的に向上してきた.小児がんは抗がん剤,放射線治療が有効であり,一方で臓器の温存が強く望まれ.そのため巨大な臨床標的体積がとられることが多い.摘出部の周囲を広く照射する術後照射や,播種しうる範囲を広く照射する全中枢神経照射などが行われる.また成人の線量制約が臓器の機能不全をエンドポイントとするのに対し,小児では成長障害や二次がんなどのように,比較的少ない線量でも起きる有害事象をエンドポイントとする線量制約も考慮する必要がある.
小児がんに対して適切な放射線治療を行うためには,その特性を理解しておく必要がある.小児がんでは試験治療と実地診療の区別が曖昧なことがあり,適切な放射線治療を行うためには,その治療の検証の状況などを正確に把握することも重要である.