2023 年 60 巻 2 号 p. 156-160
慢性活動性EBV感染症(CAEBV)は,EBウイルスが持続感染したT細胞やNK細胞の増殖を基本病態とし,発熱,リンパ節腫脹,肝脾腫などの症状が数か月以上にわたって持続する疾患である.節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型(ENKL)は血管破壊,壊死,Epstein-Barr virus(EBV)関連,節外病変を特徴とするリンパ腫である.好発年齢は40〜50歳台であり小児の報告は非常に稀である.我々はCAEBVが基礎疾患にある事が示唆されたENKLを経験した.症例は12歳男児.ENKL診断時に,EBV抗体価の異常高値と末梢血単核球中のEBV-DNAコピー数の増加を認め,放射線化学療法でENKLは消失したが,EBV-DNAコピー数は減少しなかったことからENKLの背景にCAEBVを基礎疾患に持つ可能性があると考え,同種造血幹細胞移植を遅滞なく行い,寛解を得た.小児期発症のENKLを診断した際には,その基礎疾患にCAEBVが存在する可能性を常に考える必要がある.