学会統合にあたり,ビジョンに関する主要な検討テーマは,会員の構成,専門医制度,スタディグループとの関係性,小児腫瘍学の教育,国際化の取り組みであった.組織の理念として,国際小児がん学会のようなトータルケアを重視する団体を目指すことの重要性が認識されていた.理事長時代に,それらのビジョンの達成に必要な改革に取り組んだ.特定非営利活動法人から一般社団法人への法人変更による組織改編,専門医のためのテキスト「小児血液・腫瘍学」の上梓,全国7ブロックでの講演と症例呈示による「小児血液・がん診療に携わる医師に対する教育セミナー(小児血液・がんセミナー)」の開催,小児・思春期・若年成人がん関連学会連絡協議会の創設,Pediatric Blood & Cancerを学会誌とする契約締結,韓国小児血液・がん学会との学術・研究者交流事業協定の締結,JSPHOニュースのメール配信,そして,日本小児血液・がん学会雑誌のオンラインジャーナル化が含まれる.今後,長期フォローアップや移行医療の体制整備,および一層の国際連携の強化が望まれる.
また,新たな医療資源の導入やICTの進化による遠隔医療の実用化が加速度的に進むことを踏まえて,患者・家族のQOLに配慮した医療システムの見直しを含め,新しい時代の小児血液・がん医療を見据えた学会活動が期待される.