2023 年 60 巻 3 号 p. 179-185
一般社団法人日本小児血液・がん学会の第3代の理事長を務めさせていただきました.今回,設立10周年とのことで,私が,その理事長の際に学会活動にご協力いただいた諸先生方への御礼と後進への道しるべになればと思い,この時代になしえたことを記録として残し,今後に申し上げたいことも含めて,以下の3点について分けて記載した.
一つ目は,学会自体の成長であり,日本小児がん学会と日本小児血液学会の合併,NPO法人化から一般社団法人への変更,厚生労働省の委託事業特に小児・AYA世代のがんの長期フォローアップに関する研修事業(LCAS)の運用さらに日本医学会分科会への承認の経緯を示した.この点では,学会の経済基盤の安定化,多領域の医師を取り込める体制づくり:小児科,小児外科以外の領域,医師以外のメディカルスタッフを取り込める学会,ガイドライン・ガイダンス作成を推し進めていただきたい.
二つ目は,国内での積極的な連携であり,がん対策推進計画での小児がん対策(小児がん専門委員会),小児がん拠点病院の設立と関連学会との連携によるガイドラインや事業運用を行いました.この点では,今後,教育・人材育成の体制:CLIC,LCASに加えた小児がん領域の人材育成,JCCGとの連携,患者・家族会との連携,多領域学会との連携特に小児科,小児外科以外の領域との連携の推進が必要です.
最後の三つ目は,海外との連携の強化です.韓国小児血液がん学会(KSPHO)の交流であり,相互の学会で合同シンポジウムを開催と,日本小児血液・がん学会のOfficial JournalとしてPediatric Blood and Cancer(PBC)の採用を行ったが,まだまだ不十分であった.今後は,アジアの中心としての学会活動と欧米との連携を推進し,国外に存在感のある学会としてますます成長していただきたい.