日本小児血液・がん学会雑誌
Online ISSN : 2189-5384
Print ISSN : 2187-011X
ISSN-L : 2187-011X
特別講演2
がん免疫療法の現状と展望
洞口 俊笹田 哲朗
著者情報
ジャーナル 認証あり

2023 年 60 巻 3 号 p. 192-198

詳細
抄録

がん免疫療法は第4のがん治療法として確立され,がん治療の中心的役割を担いつつある.患者自身の体内に存在する免疫細胞の活性化や遺伝子導入した改変免疫細胞の投与によりがん細胞を攻撃する手法であり,がん細胞特異的な免疫反応を選択的に誘導できれば,副作用の少ない治療法となりうる.現在まで,免疫チェックポイント阻害剤,遺伝子改変T細胞療法,がんワクチン療法など様々な方法が開発され,臨床応用されている.ただし,有効性を示す患者が限られるため,抗腫瘍免疫応答をさらに向上させるための様々な改良が試みられている.現在,小児がん,特に小児固形腫瘍に対してもがん免疫療法の有効性が検証され始めている.成人での治療成績に比較すれば発展途上な状況ではあるが,さらに科学的・医学的なエビデンスが蓄積されれば難治性/再発性の小児がんに対する新たな治療法の確立が期待できる.本稿では,がん免疫療法の現状,特に小児がんでの現状と今後の展望に関して述べる.

著者関連情報
© 2023 日本小児血液・がん学会
前の記事 次の記事
feedback
Top