日本小児血液・がん学会雑誌
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シンポジウム1:TCF3::HLF陽性白血病の難治性病態とその克服
多発溶骨病変を伴って複数回再発したTCF3::HLF陽性急性リンパ性白血病の一例
奥主 朋子日野 もえ子山下 喜晴青木 孝浩力石 浩志三村 尚也堺田 惠美子濱田 洋通
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2023 年 60 巻 3 号 p. 214-219

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抄録

症例はB前駆細胞性急性リンパ性白血病の5歳男児で,早期強化療法後に再発し,TCF3::HLF陽性が判明した.ブリナツモマブ(BLI)投与にて第2寛解となったが,頭蓋骨や鎖骨等の溶骨病変が出現した.骨髄検査では寛解を維持していたが,CTガイド下鎖骨生検スタンプ標本にてリンパ芽球増多を確認し,第2再発の診断となった.抗CD19キメラ抗原受容体T細胞(CD19-CAR-T)療法を行う方針とし,速やかにリンパ球アフェレーシスを施行した.ブリッジング治療としてイノツズマブオゾガマイシンは無効であったが,ビンクリスチン,プレドニゾロン,L-アスパラギナーゼをベースとした化学療法が著効し,CD19-CAR-Tを投与した.骨髄は寛解を維持しており,地固め療法としてCD19-CAR-T投与から2ヶ月後に血縁HLA半合致末梢血幹細胞移植を施行した.溶骨病変を含む髄外病変の評価は全身MRIを用いて行い,経時的な病変の評価や新規病変の検出に有用であった.また,BLIやCD19-CAR-T療法は病勢コントロールに有効であった.

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© 2023 日本小児血液・がん学会
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