日本小児血液・がん学会の血小板委員会は,包括的かつ実践的な小児免疫性血小板減少症診療ガイドラインをMinds推奨に準じて作成し,2022年に出版した.主な改訂点は,病名を免疫性血小板減少症(ITP)に変更し,血小板減少を10万/μL未満と定義した.病期を急性,慢性から,新規診断,持続性,慢性に変更した.出血症状の評価に修正Buchanan出血重症度分類を導入し,血小板数によらず出血の重症度に基づいて治療または無治療で経過観察する基準を示した.患者の生活様式,生活の質や医療機関への通いやすさを考慮して治療を選ぶことを勧めた.ファーストライン治療薬としては副腎皮質ステロイドと免疫グロブリン静脈注射を同程度に推奨した.トロンボポエチン受容体作動薬とリツキシマブをセカンドライン治療として位置づけた.脾臓摘出はできる限り温存する方針を示した.その他,ワクチン関連ITP,Helicobacter pylori除菌の評価,脾臓摘出後の感染管理,副腎皮質ステロイドとリツキシマブ投与時のワクチンの適応,ITP合併妊婦から出生した新生児の管理,重症出血時の緊急治療,患者の生活管理についても推奨を示した.本ガイドラインでは小児と成人におけるITPの病態と治療の相違点を明確に記載した.本ガイドラインが小児ITP患者診療の向上に寄与することが望まれる.