【目的】小児がんにおける放射線治療は,今後さらに増加していくことが見込まれるが,骨盤内の近接正常組織への被ばくを完全に防ぐことは不可能で,治療後生存期間の長い小児においては大きな課題であり,特に性腺機能の温存は小児がん治療後のQOLのために重要である.今回,吸収性スペーサーおよび性腺移動を含めた被ばく低減手術について,その概念と展望について報告する.
【方法】本稿での被ばく低減手術の定義を「放射線治療時の周囲正常組織の被ばく低減のため,正常組織との間隙確保や放射線防護を目的に行われる手術の総称」とし,小児骨盤内悪性固形腫瘍に対する手術について,自験例を含めて紹介する.
【結果】吸収性スペーサーによる体内空間可変治療について紹介を行った.また,横紋筋肉腫3例に対して放射線治療前に被ばく回避を目的とした性腺移動を行った.精巣の1例については移動は比較的容易であったが,卵巣の2例については,照射範囲によって両側の回避が難しく,1例は片側のみの移動となった.卵巣組織凍結保存として,3例の脳腫瘍患者に腹腔鏡下片側卵巣摘除を行った.
【考察】小児においては,臓器保護とともに妊孕性温存も大きな課題であり,吸収性スペーサーによる臓器移動と,性腺移動や卵巣凍結保存による性腺保護を組み合わせた被ばく低減手術の実施は,長期QOL向上のために今後検討していくべき外科的補助療法と思われる.