近年,妊孕性温存療法の普及とともに,小児患者においても妊孕性温存療法が広まりつつある.女児では,卵子凍結ならびに卵巣組織凍結が適応となる.卵子凍結は確立された医療技術であるが,卵子採取に必要な調節卵巣刺激に約2週間を要するため,緊急性の高い患者には適応できない.また,月経周期を有することや経腟採卵が可能であることなど,実施する際の条件が存在する.また,妊娠率も決して高いとはいえない.一方,卵巣組織凍結は初経前での患者でも実施可能で,保存にかかる日数も数日である.しかし,白血病のような卵巣内に病変を有しやすい疾患では,凍結した卵巣組織内に腫瘍細胞が混入している可能性があり,それを移植することによって原疾患が再発する危険もある.筆者らの所属施設では既に78人の小児卵巣組織凍結,4人の卵子凍結を実施しており,その実施可能性が示されている.今後,わが国でのエビデンスの確立のためにも,日本がん・生殖医療登録システムへの確実な登録と長期にわたるフォローアップが必要である.本稿では,妊孕性温存に関する基本的な事項と所属施設における現状を述べる.