2024 年 61 巻 2 号 p. 148-153
先天性免疫異常症には400種類以上の原因遺伝子が知られており,重度の疾患では造血細胞移植による治療を要する.一方で先天性免疫異常症の発症頻度は低く,各疾患は希少である.各疾患によって病態が異なり,造血細胞移植の戦略を患者ごとに十分検討する必要がある.とくに乳児期の造血細胞移植が多く,前処置の選択や合併症の管理などの向上は必要である.また,造血細胞移植後の小児期,成人期における長期予後や合併症などのイベントの検討は必須である.1993年4月から2023年3月まで北海道内で47例(男児40例,女児7例)に対する合計54回の造血細胞移植が行われた.疾患の内訳は複合免疫不全症12例,特徴的所見や症候群を呈する複合免疫不全症9例,抗体産生不全を主とする疾患2例,免疫調節異常症6例,貪食細胞の数あるいは機能の異常16例,内因性あるいは自然免疫異常1例,自己炎症性疾患1例である.北海道の地域性を考えると長期フォローアップも含めて検討することは可能である.過去30年における北海道の先天性免疫異常症に対する造血細胞移植の調査を通して,その課題を考えたい.