日本小児血液・がん学会雑誌
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原著
高リスク神経芽腫に対する抗GD2抗体の使用経験
本田 護荒川 ゆうき水島 喜隆入倉 朋也石川 貴大渡壁 麻依金子 綾太三谷友 一窪田 博仁森 麻希子福岡 講平大嶋 宏一福地 麻貴子小久保 知寿子中村 有里一色 恭平康 勝好
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2024 年 61 巻 2 号 p. 184-190

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抄録

背景:神経芽腫に対するdinutuximab(DIN)とG-CSF,IL-2製剤を用いた抗GD2抗体療法の経験を報告する.

対象と方法:2021年9月から2023年3月までの間に当院で高リスク神経芽腫と診断され抗GD2抗体療法を受けた症例を対象として,その有害事象と管理の実際について後方視的に検討した.

結果:対象は全8例(男児4名),抗GD2抗体療法開始時の年齢は中央値4.9歳,開始時点で7例が完全寛解であった.8例に対して合計43サイクル(CSFレジメン22サイクル,IL-2レジメン21サイクル)実施した.7例で全6サイクルを完了したが,1例は原病進行により1サイクルで中止した.主な血液毒性として好中球減少,血小板減少,貧血がそれぞれ43サイクル中7,5,4サイクルで観察された.NCI-CTCAEのGrade 3以上の非血液毒性としてinfusion reaction,capillary leak syndrome,肝酵素上昇がそれぞれ43サイクル中4,5,13サイクルで観察された.5サイクルでDINの一時中断を要したが,有害事象はいずれも許容範囲内であり7例で治療を完遂できた.観察期間内で8例中5例は再発せずに生存し,2例は抗GD2抗体療法終了時に再発し,1例は病勢進行後まもなく原病死した.

結論:高リスク神経芽腫に対して抗GD2抗体療法は安全に実施可能である.

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