2024 年 61 巻 2 号 p. 176-183
【背景】小児がん治療中の口腔粘膜障害について,国内での予防や治療の現状は不明である.そこで日本小児がん研究グループ(JCCG)参加施設における現状調査を行った.【方法】JCCG参加153施設を対象に2017年4月から7月まで,口腔粘膜障害の予防と治療についてウェブアンケート調査を行った.【結果】108施設(71%),110診療科から回答を得た.医師だけではなく看護師,歯科医師,歯科衛生士が中心となり,多職種による口腔ケアが行われていた.72%の診療科で小児がん患者への口腔ケアの指導が行われ,65%の診療科で含嗽とブラッシングを併用した口腔ケアが行われていた.クライオセラピーは64%の診療科で経験があり,うちメルファラン投与時に行う診療科が84%と最も多かった.口腔粘膜障害による疼痛に対してアセトアミノフェン,非ステロイド性消炎鎮痛剤,オピオイドなどが使用されていた.【考察】小児がん患者に対する口腔ケアが国内で標準化されていないことが明らかとなった.更なる口腔ケアの向上に向けた研究が必要である.