2024 年 61 巻 3 号 p. 205-208
医療と医学は相互に関連し,医療の課題が研究の萌芽をもたらし,研究の発展が医療の進歩につながる.特に血液・がん領域では診療と研究が密接に結びついており,診療の視点が研究を加速させ,研究の成果が診療を進歩させやすい.しかし,研究に対する「誤解」が研究離れの一因となっている.次世代シーケンサーを中心としたゲノム解析技術の進展により,結果を得てから仮説を考えるdata-driven型の研究が広がり,大規模な解析によりこれまでは気づくことができなかった新たな成果を生み出している.しかし,その一方で,多くの疾患に対してすでに実施されほぼ飽和しており,そのようなアプローチでは解明できない課題が残されている.そこで,臨床的な非典型例(outlier)に着目した病態研究がこの課題を解決する選択肢となる.臨床現場での注意深い観察による「気づき」を出発点としたhypothesis/curiosity-driven型の研究は,進歩した技術を操ることで現代でも新たな発見につながる.自らの可能性を信じ,知的好奇心と想像力による「妄想」を駆使して新たなブレイクスルーを目指す「学ぶ喜び」を共有することが望まれる.