2024 年 61 巻 5 号 p. 346-350
小児血液がんの造血幹細胞移植は,成人とは対象疾患や合併症において異なる点が多い.近年,成人領域では予防,診断,治療に新技術や薬剤が登場しているが,これを小児に応用するには注意が必要である.本稿では,小児血液がん治療の例を提示し,造血幹細胞移植後の重篤な合併症であるVOD/SOSの診断と治療の最新情報,GVHDの予防と治療法の更新について述べた.また,新たなGVHD治療薬であるイブルチニブやルキソリチニブについて紹介する.治療成功だけでなく,移植後の患者の長期的な健康管理とフォローアップが重要であり,それを支援するためのツールも提供されている.