日本小児血液・がん学会雑誌
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シンポジウム1:CAR-T 療法 ~「これまで」と「これから」~
急性リンパ性白血病に対するCAR-T療法―国内のreal world―
加藤 格
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2025 年 62 巻 1 号 p. 6-13

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抄録

tisagenlecleucelが日本で薬事承認されてから5年以上が経過した.日本CAR-Tコンソーシアムは,本邦におけるtisagenlecleucelのリアルワールド(RW)での使用経験を把握するために,tisagenlecleucelを投与された小児AYA世代再発・難治性B-ALLのデータベースを構築した.2019年5月22日以降,日本の11施設が参加し,2022年2月1日時点で合計42例の輸注患者が解析された.

全奏効率(CR/CRi)は93%であった.Tisagenlecleucel輸注後の1年OS率は82%,EFS率は56%であった.27例(64%)の患者はtisagenlecleucel輸注前の骨髄リンパ芽球が5%未満の患者で1年EFS率が80%であったのに対して骨髄中の芽球5%以上の症例では1年EFS率が24%であった(p<0.0001).多変量解析により,造血細胞移植(HSCT)の既往(n=23,55%)患者が予後良好であることが明らかになった.HSCT既往患者の1年EFS率は75%であったのに対し,HSCT未実施例では24%であった.

これらの患者集団の長期フォローアップデータおよび患者サンプルのさらなる詳細な解析により,CAR-T治療に関するさらなる知見が期待される.

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