日本小児血液・がん学会雑誌
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シンポジウム2:小児希少固形腫瘍の病理と臨床
小児希少軟部腫瘍の病理
坂本 香織孝橋 賢一
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2025 年 62 巻 5 号 p. 261-265

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抄録

小児の全固形腫瘍中,軟部腫瘍は15.4%と極めて少ない特殊な腫瘍である.その病理診断は臨床の治療方針に即していることが前提であり,治療レジメンが存在する腫瘍や腫瘍特異的遺伝子変異に基づいた治療薬が存在する腫瘍を確実に診断することが重要となる.横紋筋肉腫やEwing肉腫,悪性ラブドイド腫瘍などのように診断的価値の高い鋭敏なマーカーが報告されているものも存在するが,これら免疫染色抗体の準備は一般病院では極めて困難である.さらに遺伝子転座の確認も重要となるが,解析可能な施設は限られている.

小児軟部腫瘍領域では,今後遺伝子単位での疾患概念がさらに増えることが予想される.例えば,NTRK遺伝子再構成紡錘形細胞腫瘍では,ETV6::NTRK3や同一遺伝子座内での転座であるLMNA::NTRK1などの遺伝子異常が報告されている.しかし,NTRK遺伝子転座は軟部腫瘍や脳腫瘍から乳癌に至るまで様々な癌腫で報告されているため,組織形態と遺伝子異常とを合わせて考えていくことが非常に重要となる.

小児軟部腫瘍の治療において正確な診断が重要であることは言うまでもないが,自施設ではどこまで診断が可能であるかを臨床医と病理医があらかじめ理解しておく必要がある.診断困難例や判定に苦慮する症例などは積極的にがんパネル検査への提出も考慮すべきと考える.

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