日本小児血液・がん学会雑誌
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総説
小児がん経験者の認知機能障害の評価:認知機能障害の症状と検査
佐藤 聡美瀧本 哲也加藤 実穂大六 一志
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2026 年 63 巻 1 号 p. 20-26

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抄録

小児がん経験者(childhood cancer survivors; CCS)にみられる晩期合併症の一つである認知機能障害は,学業や就労など生活の質に長期的な影響を及ぼす可能性がある.しかし本邦においては,支援計画を策定するための体系的な評価が十分に行われていない.そこで本稿では,小児がん治療後に生じやすい認知機能障害として,①知的機能の全般的な低下,②注意とワーキングメモリーの障害,③処理の自動化の障害,④実行機能障害,の4点を概説した.さらに,ウェクスラー知能検査における得点パターンについて述べるとともに,認知機能障害の原因およびリスク因子について5つの観点から整理した.これら4つの障害のうち,①②③はウェクスラー知能検査によって検出可能であり,④はそれに加えてDas–Naglieri Cognitive Assessment System(DN-CAS認知評価システム)による評価が有効である.知能検査の結果は,必ず被検者の日常生活における適応状況と照らし合わせて解釈する必要がある.検査にあたっては,検査者が事前に,医師とともに疾患の特性や治療内容,個人要因,社会環境,その他の晩期合併症などのリスク因子を共有し,それらを踏まえた上で評価を行うことが求められる.

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