日本小児血液・がん学会雑誌
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シンポジウム3:小児グリオーマに対する治療開発の過去・現在・未来
小児低悪性度神経膠腫の治療変遷
山口 秀伊師 雪友藤村 幹
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2026 年 63 巻 2 号 p. 139-144

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抄録

小児低悪性度神経膠腫(pLGG)は大部分がグレード1の「良性」に分類される腫瘍であり,完全摘出により治癒が望める.一方視路視床下部や脳幹など,全摘出不可能な部位に生じた場合は治療に難渋し,腫瘍増大により深刻な後遺症が生じることも少なくない.一方で生命予後は決して不良ではない.分子生物学的な解明が進むにつれて,「良性の星細胞腫」という病理概念から,pLGGとして成人神経膠腫とは異なる腫瘍群と認識されるに至った.DNAメチル化解析の発展により病理診断は益々細分化されているが,これも発展途上の段階である.BRAF遺伝子異常を中心としたMAPK活性経路異常が多く,分子標的薬が期待されている腫瘍である.

治療開発の目的も他の小児がんと大きく異なる.臨床試験においては多くの試験は「無再発生存」で評価されているが,他の小児がんの「無再発生存→再発」とは概念が異なっており,「無再発生存→腫瘍再増大」であることを認識する必要がある.pLGGの治療目標は「どのくらい腫瘍をおとなしくさせるか」であり,治癒を目指しているわけではない.ここには「やがて腫瘍増大が自然停止する」という認識がある.治療開発は化学療法を比較的長く続ける治療から,今後は分子標的薬が中心になる.治療効果のみでなく成長に影響を与えるような有害事象の検証も必要なことが,このような背景からも理解可能である.

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