2026 年 63 巻 2 号 p. 152-160
ダウン症新生児に特有の一過性骨髄異常増殖症(transient abnormal myelopoiesis: TAM)は,末梢血芽球増加を特徴とする前白血病状態であり,多くは自然寛解する一方,肝障害などで致死的となる例や,ダウン症関連急性巨核芽球性白血病(DS-AMKL)へ進展する例がある.TAMでは造血転写因子GATA1の体細胞変異により短縮型GATA1(GATA1s)のみが発現するが,異常増殖が最も強く誘導される未熟造血前駆細胞分画は十分に定義されていなかった.本稿では,iPS細胞を用いた段階的造血分化系により,TAM患者由来iPS細胞とゲノム編集対照株を時系列に解析し,CD34+CD43+CD235a–CD11b–CD71+CD41+の赤芽球・巨核系前駆細胞分画が主要な起源細胞であること,ならびに当該分画における転写プロファイルの異常がTAM様表現型に結び付くことを示した.