日本小児血液・がん学会雑誌
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二学会合同シンポジウム:小児がん患者と家族の薬剤・環境曝露対策―正しく怖がるために―
小児がん領域における家族の抗がん薬曝露:現状と課題
野田 優子
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2026 年 63 巻 3 号 p. 211-216

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抄録

小児がん治療に用いられる抗がん薬は,医療従事者のみならず,入院中の患児に付き添う家族にも曝露リスクを及ぼす可能性がある.本邦では抗がん薬の職業性曝露対策に関するガイドラインが整備されてきた.一方,小児領域では,家族が排泄,清潔,食事などの日常生活援助に加え,抱っこや遊び,スキンシップといった情緒的支援も担っており,曝露対策は一律には進めにくい.本稿では,抗がん薬曝露に関する基本的知見と既存の職業性曝露対策を概観したうえで,患児家族への曝露に関する知見,特に小児がん領域における特徴と課題を整理した.著者らの調査では,シクロホスファミド(cyclophosphamide;CPM)投与を受けた患児に付き添う家族の尿中からCPMが検出され,療養環境の複数箇所にもCPM付着が認められた.また,家族のケア内容とPPE装着状況を踏まえた解析では,抱っこ,遊び,タッチングなどの情緒的ケア場面において,PPEの未装着または不十分な装着状態で長時間接触することが曝露と関連する可能性が示唆された.今後は,患児の精神的安寧を損なうことなく,家族の安全を確保できる実践的な曝露対策の構築が求められる.

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