2026 年 63 巻 3 号 p. 255-260
症例は生後5か月時にリスク臓器陽性の多臓器型ランゲルハンス細胞組織球症(MS-LCH)と診断された女児である.初回治療に一時的に反応を示したものの,再増悪を認めたため救済療法を施行した.救済療法終了後,SARS-CoV-2,ノロウイルス,アデノウイルスの多重感染を発症し,進行性の血球減少および肝障害を呈した.これらの臨床経過と検査所見から二次性血球貪食症候群(HLH)と診断し,HLH-2004プロトコールに準じた治療に加え,トシリズマブ(tocilizumab)を含む免疫抑制療法を併用した.しかし,病勢は制御できず多臓器不全により死亡した.リスク臓器陽性のMS-LCH患児において再発・難治例に対する強力な免疫抑制治療により,ウイルス感染に対する易感染性を呈する.本症例は,複数のウイルス感染が引き金となりHLHを発症した可能性がある.LCH患児におけるHLH発症リスクや,早期診断および積極的な治療介入の重要性について過去の文献的考察を交え,本症例を報告する.