2026 年 63 巻 3 号 p. 231-237
背景:近年,小児がん患者の両親における心的外傷後ストレス症状(Post-traumatic Stress symptoms: PTSS)が報告されているが,症状が持続する者における家族機能との関連については十分明らかにされていない.
方法:対象は入院治療を経験した新規小児がん患者の両親.退院前(T1)と1年後(T2)の2回の時点で,Impact of Event Scale Revised(以下IES-R)によりPTSSを評価した.IES-R総得点25点を境に,症状高リスク群(高リスク群)と症状低リスク群(低リスク群)に区分し,T1とT2の両群の抑うつ,状態不安と特性不安,家族機能を比較し,前後の変化を検証した.
結果:母親15名,父親13名.IES-R平均値は父親が25.5から16.9と有意に低下したが,母親は22.1から18.7と有意な低下を認めなかった.高リスク群の母親はT1時7名,T2時4名で,父親はそれぞれ6名と2名であった.T2に高リスク群の母親はIES-Rの覚醒亢進症状と家族機能の「役割」が有意に高値であった.高リスク群の父親では家族機能との関連は認められなかった.
考察:高リスク群では,母親は家族の役割機能低下との関連が見出されたが,父親は家族機能との関連は見出されず,家族支援での母親の役割の重要性が認識された.
結語:特にPTSS高リスクの母親については,入院中から家族内資源を把握し,退院後も継続的な家族支援を行う重要性が示唆された.