四国公衆衛生学会雑誌
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保健師学生への学習支援が四国内市町村保健師個人や組織にもたらしたものー計量テキスト分析
横井 百合入野 了士野村 美千江田中 美延里
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2024 年 69 巻 1 号 p. 147-155

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抄録

【目的】保健師学生の実習における市町村保健師の学習支援が保健師個人と組織にもたらしたものを明らかにすることである。

【方法】四国4県の市町村保健師を対象にWEB調査を実施した。調査内容は保健師経験年数、過去5年以内の実習指導者/学習支援者の経験の有無、関わりの工夫、学習支援を通して個人や組織が得たものである。自由記述について、KH Coderで共起ネットワーク図を作成し分析した。

【結果】有効回答124人、過去5年以内の経験は実習指導者(以下、指導者)82人(66.1%)、学習支援者(以下、支援者)42人(33.9%)。経験年数の中央値は指導者が19.0年、支援者は12.5年で新任期から管理期まで幅広い世代の関わりがあった。

学生に関わる工夫として、指導者はより多くの住民・関係者と交流できる機会をつくることを心がけ、指導者・支援者ともに学生と交流して自分の保健活動の経験を語ることをしていた。

実習での学習支援を通して保健師個人にもたらされたものは、地区データ見直しによる健康課題や強みの新たな気づき、先輩の語りを一緒に聞くことで地区に出て活動する意義の再確認、活動の振り返りの機会等であった。組織にもたらされたものは、関係機関や他部署・住民へのネットワークの拡大、指導スキルの向上、後輩を育てる意識の高まり、先輩・同僚の経験からの学び合いであった。

【結論】実習指導者だけでなく、幅広い世代の市町村保健師が、多様な役割を担いながら保健師学生の実習に関わり、学習支援を行うことで、保健師個人の後輩を育てる意識や指導のスキルを高め、学生・住民・関係者・組織内外の保健師らと学び合いをもたらしている実態が明らかになった。結果、コミュニケーションは増え、職場の風土に良い影響を与えると考える。実習プログラムに意図して人材育成につながる内容を入れる工夫だけでなく、今後、各市町村保健師のキャリアラダーに保健師学生の実習指導を位置づけることで、OJT(On-the-Job Training)を効果的に行うことができ、組織的な人材育成において有効である。

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