四国公衆衛生学会雑誌
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保育園 2 歳児クラスの幼児をもつ母親の社会的健康度と生活習慣との関連
髙橋 香織西嶋 真理子大野 美賀子
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2025 年 70 巻 1 号 p. e8-

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抄録

【目的】幼児を育てる母親の生活習慣と社会的健康度との関連を明らかにすることにより,子育てに関わる専門職の保護者支援の手がかりを検討する .

【方法】 11 都道府県の認可保育園 2 歳児クラスの子どもの母親 539 名を対象とし,無記名の自記式質問紙調査を実施した.内容は,年齢などの属性,運動,食事,睡眠などの生活習慣,及び社会的健康度に関するものである.社会的健康度と属性及び生活習慣の関連については,t 検定または一元配置分散分析を行い,有意差が見られたものについて重回帰分析を行った.

【結果】有効回答率は 34.5%であった.社会的健康度の下位尺度において,「家族以外との交流・社交性」は,年齢が若い,喫煙習慣あり,朝食時刻の規則性ありの群が高かった.「子育てに伴う制約感(逆)」は,朝食時刻の規則性あり,子ども 2 人以下,喫煙習慣ありの群が高かった.「地域・社会との関わり」は,運動習慣あり群が高かった.「社会生活における自己効力感」は,朝食時刻の規則性あり,睡眠問題なし,子育てサポートがある群が高かった.

【考察】運動習慣があると友人や同じ地域に住む者と一緒にスポーツを楽しむなど,物理的に他者との繋がりを持つ機会が多いことが推測され,地域・社会との関わりを深める機会となることが考えられる.食事のタイミングはヒトの概日リズムを調整するといった報告もあり,朝食を規則的な時刻に摂ることで体内リズムが整いやすいことが考えられるが,社会的健康度とも関連していることが明らかになった.母親が自分自身の生活の在り様に目を向け,自分の生活習慣を整えるきっかけを提供することも子育て支援に携わる専門職の役割の一つとして考えられる.

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