2025 年 70 巻 1 号 p. e9-
【目的】県庁政策部門の保健師が日常業務の中でどのように事業化・施策化を行っているか、また事業化・施策化に影響することは何かを明らかにする。
【方法】 A 県県庁政策部門経験のある保健師 5 名に半構造化面接を行い、質的記述的に分析した。
【結果】事業・施策化の過程において、地域や関係する組織に対するアセスメントを実施していた。 PDCA サイクルにおける実施の段階では【現場に足を運び,関係性を作りながら,みて,つないで改善策を提案する】【せめぎ合う関係者に対し、権限や役割分担の理解を求める】などが抽出された。影響では、【県庁の組織文化】【専門職としての信念・姿勢】【県庁経験の中で成長する私】などが抽出された。
【考察】事業化・施策化の過程において、地域の健康課題の解決に向けたアセスメントを行っていることが明らかになった。その対象は個人・家族ではなく、広域的な組織や自治体、関係団体などであり、システムレベルのアセスメントを行っていると考える。また、事業化・施策化の中で、せめぎあう関係者の存在、現場との関係性を重視していることが明らかになった。さらに、事務職と協働して施策化を経験することで、公務員としての能力だけでなく、専門職として成長を実感しており、県庁政策部門の経験は保健師としての専門性を高めることができると考える。