2026 年 71 巻 1 号 p. e2-
【目的】最近のメタアナリシスで身体活動とパーキンソン病発症リスクとの予防的な関連が示された。しかしながら、先行研究の多くは総身体活動に焦点を当てており、身体活動のドメイン(例:余暇活動、職業活動など)や強度別(例:高強度、中強度など)といった多次元的な側面から関連を詳細に検討し、集約した報告は十分ではない。本研究では、様々な身体活動とパーキンソン病発症リスクとの関連に関する詳細な情報を収集するため、身体活動のドメイン、強度、および評価方法の違いに着目し、これらの関連を調べたコホート研究と症例対照研究の成果を収集し、関連についてのエビデンスを多角的にまとめた。
【方法】医学文献データベース(PubMed)を使用した。検索用語として、(“Parkinson Disease”[MeSH Terms] OR “Parkinson’s disease”[Title/Abstract]) AND (“Motor Activity”[MeSH Terms] OR “Physical Activity”[Title/Abstract] OR “Exercise”[Title/Abstract] OR “Physical Exertion”[MeSH Terms]) AND (“Risk”[Title/Abstract] OR “Risk Factors”[MeSH Terms] OR “Incidence”[Title/Abstract] OR “Development”[Title/Abstract] OR “Onset”[Title/Abstract]) AND (“Cohort Studies”[MeSH Terms] OR “Prospective Studies”[MeSH Terms] OR “Case-Control Studies”[MeSH Terms]) AND (“Humans”[MeSH Terms]) AND (“English”[lang]) NOT (“Case Reports”[Publication Type] OR “Randomized Controlled Trial”[Publication Type] OR “Systematic Review”[Publication Type] OR “Review”[Publication Type])を用いた。タイトル、要約、本文をレビューし、曝露因子として身体活動に関する記述があること、パーキンソン病の罹患をアウトカムとし、オッズ比またはハザード比が示されているコホート研究と症例対照研究である英語原著論文を選択し、表に集約した。尚、一次予防に資する観察研究を対象とするため、介入研究は除外した。
【結果】最終的に18編(コホート研究14編、症例対照研究4編)の論文を同定した。生活活動と運動の双方で活動量が多いほどパーキンソン病の発症リスク低下と関連することが複数の論文で認められた。男女間で関連に差がある論文も見られた。
【結論】コホート研究の論文または症例対照研究の論文では、身体活動がパーキンソン病のリスク上昇と関連したものはなく、様々な身体活動はパーキンソン病のリスク低下と関連することが複数の論文で認められた。しかしながら、未だエビデンスは十分ではない。今後、日本人を含む諸外国の複数のコホート研究に基づくエビデンスの蓄積が必須である。