四国公衆衛生学会雑誌
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保育園2歳児クラスの子どもをもつ母親がコロナ禍において感じる主観的影響
大野 美賀子西嶋 真理子髙橋 香織
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2026 年 71 巻 1 号 p. e8-

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抄録

目的:新型コロナウイルス感染症により行動制限がなされ,子育てへの影響を受けたであろう保育園の2歳児クラスの子どもをもつ母親自身が感じたコロナ禍での主観的な影響を明らかにする.

方法:A社が運営する認可保育所42か所の2歳児クラスに所属する子どもの母親539名を対象に無記名の自記式質問紙調査を行った.内容は基本属性とコロナ禍の主観的影響を自由記載にて尋ね,記述結果について内容分析を行った.

結果: 自由記載のあった155名の記載内容から抽出された計362の意味単位を分析対象とした.362の意味単位から65のコード,14のサブカテゴリ,4のカテゴリを抽出した.母親が感じたコロナ禍の主観的影響は【新しい生活様式の前向きな受容】【経験したことのない困難への対応で引き出された強み】【家庭外との関わりの減少に伴う困難】【新しい生活様式を受け入れるための課題】の4つのカテゴリで構成されていた.【新しい生活様式の前向きな受容】では,家族の結びつきの実感,節約するといった工夫など,外出制限や新しい生活様式による変化をポジティブに捉え,【経験したことのない困難への対応で引き出された強み】では,健康を保つことの意識づけや行動,制約のある環境への適応,母親自身の行動や心情の変化を感じている内容であった.【家庭外との関わりの減少に伴う困難】では,行動制限により外出できないことや人に会えないこと,子どもの心身への支障,【新しい生活様式を受け入れるための課題】では,子どもや夫との関わりや悩みを相談できないことによるストレス,マスクの着用や黙食などの新しい生活様式への対応により生じる負担や弊害を感じている内容であった.

考察:保育園2歳児クラスの子どもをもつ母親は行動制限や感染対策などにより,子どもの成長発達への心配,心身への影響,家族との関係の変化,経済的な影響など幅広く多様な影響を感じていた.コロナ禍は子育て中の母親に多くの負担や困難をもたらしたが,困難や課題に対応することで引き出された自己解決能力やストレスへの対応力など潜在した能力や強みがあると考えられた.

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