2020 年 11 巻 12 号 p. 1318-1322
目的:Balloon kyphoplasty(以下,BKP)は多くの症例で良好な除痛効果が得られているが,成績不良例も少なからず存在する.本研究の目的は,術前の画像所見を術後成績により比較検討し,術前から予測できる予後不良因子について考察することである.
対象と方法:骨粗鬆性椎体骨折に対しBKPを施行し,そのうち術前にレントゲンとMRIを撮影し,術後経過観察可能であった66例を対象とした.BKPで症状が改善した群(改善群)と改善しなかった群(非改善群)2群に分類し,年齢,性別,身長,体重,Body Mass Index,施行椎体高位,骨セメント注入量,単純レントゲン所見(局所後弯角と椎体不安定角),MRI所見をそれぞれの群で比較検討した.
結果:改善群は47例,非改善群は19例であった.2群で比較検討すると,術前MRIにて骨折椎体偽関節部に滲出液貯留を広範囲に認める症例は,非改善群で有意に多く認めた(p<0.001).その他の検討項目では有意差を認めなかった.
考察:BKP成績不良例では,術前MRIで多くの症例に椎体内滲出液貯留を認めた.椎体内滲出液貯留は成績不良因子となることが示唆された.